私のAI活用:効率化と認知的負債
作成日時: 2025/12/13

はじめに
12月の第二週は就職活動や期末試験の準備また,最大のタスクとして研究室で行っている論文輪講の準備で追われてました...
今週はこの論文輪講の準備で終わってしまい技術的なインプットがあまりなかったため,論文輪講を行う上での私のAI活用事例について書こうと思います.
そもそも論文輪講とは
論文輪講では,2020年以降の論文の中から論文を選定し,作者に代わって当該論文を紹介するといった内容になっています.この時要約レポート(10ページ以上ある元論文を2ページにまとめるもの)とスライド作成(15分間の発表分)の作成を行っています.自身が取り扱う論文の選定にはgoogle scalarやj-stageを用いて論文を探しています.
私のAI活用
私はこの論文輪講で扱う論文の選定でAIを利用しています.私が大事にしていることの一つに,AIを利用することによる自身の学習能力向上の機会を損失することを避けるということを意識しています.学部三年の今,私はXR技術に対する理解を深めるだけでなく,学術論文を読むという忍耐力と,どこが要点化をくみ取る読解力そしてそれを文章にする文章構成能力を養うための期間だと考えています.
そのため私の使い方としては,要約文書そのものの執筆に利用するのではなく,どの論文を扱うのかを選ぶことに利用しています.
AIブラウザ: comet
私が最近使用しているブラウザは,Perplexityが開発しているcometというブラウザです.このブラウザは,一昔前に開発が終了したArcブラウザや,その後継に当たるMacで利用されているDiaブラウザのように,ブラウザで閲覧している画面を直接プロンプトとして与える機能や,エージェントが自立的にブラウザ操作を行う機能を有したいわゆるAIブラウザです.(ちょっと前にOpen AIのブラウザも話題になってましたね).このブラウザで提供されている機能には,フリープランでは一部制限がありますが,学生であればProプランへの1年間のライセンスが付与される他,招待リンクから友人を招待することで利用期間を最大13カ月間延長できます(2025年12月時点).
cometブラウザでは,閲覧しているサイトのコンテンツに対してサイドタブでシームレスに,翻訳や要約,質問ができるだけでなく,自分で事前に設定した任意のカスタムプロンプトやモデルの選択,NotionやJira,TeamsといったサービスからMCP経由で情報を取得することもできます.
私はこの機能を使って,ショートカットコマンドで下記のようなプロンプトを事前に指定して興味のある論文を精査しています.例えば,私の場合は,興味のある分野の研究の多い日本バーチャルリアリティ学会の論文を適当にブラウジングし,気になるタイトルの論文があったら,全文を読むのではなく,ショートカットコマンドから,どんなことをやったのか,研究背景と課題から有用性はあるのか,どのような方法で持って検証しているのか,どんなことが明確になったのかなど,論文を読むうえでとくに重要となる要点をさらい,どの論文を扱うのか効率的に選定しています.
`/article-summary`
現在参照している論文を次のフォーマットで要約してください.
# Info: 基本情報
- タイトル:
- 著者:
- 著者所属:
- 発表場所:
# Abstract: どんな論文か?
アブストラクトの内容を要約し、背景から結果まで含めて簡潔にまとめる。
# Background and Aim: 背景と目的
- 本研究の背景
- 本研究の目的: 背景で語られた問題点を解決するもの
# Method and Novelty: 手法と新規性
- 前項の目的を達成するための手法を述べる
- 従来手法と比べて何が新しいかを述べる
# Experiment and Result: 実験と結果
- 実験方法や結果を述べる
- 図やグラフを引用する
- 定性的な結果があれば引用する
# その他
## なぜ論文が通ったか?
- この論文がどうして採択されたか、どこが強かったのかを分析
## 関連研究
- 本研究で言及されている先行研究がどのような論文かを提示
上記のショートカットコマンドから論文のサマリーを出力すると,下記のように,ソースを参照中の論文にして出力されることからハルシネーションなく高精度でサマリーが作成されているように感じています(あくまでも個人の経験則に基づきます).
このサマリーをもとに深く読み込みたいと思った論文に関しては,たいていIpadでハイライトを引きながら頭から読んでいくのですが,論文内で出てくる専門的な用語や,統計処理や図表に対する疑問や自分の解釈について,論文の内容を事前情報として与えた状態で瞬時に疑問を投げかけることが出来るため,とても便利になったと感じています.
何もソースを指定しない状態でのブラウジングでは,ソースの裏どりが難しくなったり,過去の学習データをもとにしたハルシネーションがある中で,ソースを明確にしたうえで,私が最も関与するべき何に興味を持つのかという選定行為の効率を最大限高めること.いくらでも質問ができる教師としての使いかたこそが,学生としての生成の使い方として最良なのではないかと考えています(2025年12月時点の持論),
おわりに
今回は学習機会を担保した生成AIの利用例として,私が論文輪講で行っているcometブラウザを使った論文選定の例を紹介しました. 今後は,論文輪講に限らず,コーディングや,論文等の文書の執筆,情報収集など様々な場面でAIを使うことが当たり前になるかと思います.その中で,AIが書いたコードに対して何の疑いも持たないような行為や,学習時に楽をするあまりに思考を放棄するような行為が最大のAI誤用になると考えています.これからエンジニアとしてAIとともにソフトウェア開発の現場に飛び込んで行く身としても,便利のすぐ横にはその時々に合わせた本質を喪失しかねない誤用が付きまとっていることを肝に銘じて,責任の持てる技術者になれるよう精進します...!